1. 概要
本サイトにおける料理工学の設計方針を定める。また、料理工学を扱う上で標準となる機器/調味料を規定する。
2. 設計方針
料理に限らず、設計方針というのは大切だ。どういうことを想定して設計したか、ということであり、想定どおりの使い方をする限り、考えたとおりの結果を出してくれるだろう。当たり前のことを言っているだけだが、実に大事なことである。例えば、ACfAで乱戦用の機体を使ってタイマンで勝てないとしても、それは当然のことである。逆もまた然り。
本サイトで扱う料理についての設計方針を以下に示す。
- 再現性のあるレシピが作成できる内容とする。
- 工程数は極力少なくする。
- 一般的な食品店で入手できる素材のみを使う。
- 調味料(特に油/塩)は極力使わない。(健康のため)
3. 標準機器
標準となる調理機器を以下に示す。
3.1 小型鍋(炊飯用)
主に炊飯用として使う小型鍋は、「STAUB La Cocotte de GOHAN 12cm」 とする。1合以下の炊飯に適しており、洗うのも簡単である。また少量の料理用としても使うことができる。
図3.1-1:STAUB La Cocotte de GOHAN 12cm
3.2 大型鍋(汎用)
一般的な料理用として使う大型鍋は、「STAUB La Cocotte Round 20cm」 とする。2.1項と同じくSTAUBの無水鍋である。なんといっても無水調理の旨さが半端ないのと、調理の工程数が少ないことが利点である。STAUBを使った料理を紹介している「ずぼら料理教室」さんのYoutube動画を参考として併記する。
図3.2-1:STAUB La Cocotte Round 20cm
図3.2-2:STAUB鍋を用いた料理紹介@ずぼら料理教室
3.3 フライパン(汎用)
主に焼き物調理として使う鍋はフライパンとする。ただし、表面加工(フッ素樹脂加工など)が施されているもので外径24cmとする。表面加工の無いフライパンは家庭では扱いにくい。24cmとしたのは、これ以上小さいと肉などを広げられないことが多いからであり、これ以上大きいと家庭用コンロの火力では鍋が大きすぎるためである。特にメーカは問わないが、参考商品を図2.3-1に示す。深型のフライパンであり、いろいろと使いやすい。俺もこれを使っている。
図3.3-1:フライパンの参考商品 (和平フレイズ メガフッカ IH対応スーパーディープパン 24cm)
3.4 ボウル(大)
ボウルは「藤井器物製作所 3way水切りボウル」を用いる。
主に米を砥ぐ際に用いるが、野菜を洗ったりするのにも便利なボウルである。
このボウルは10年以上使っているが、全く問題なく使えている。
図3.4-1:藤井器物製作所 3way水切りボウル
3.5 ボウル(小)
調味料を取り分けたりする際に小さな皿が欲しくなるが、それに適するのが「下村企販 ボウル 小分け 容器 3個組」である。
図3.5-1:下村企販 ボウル 小分け 容器 3個組
4. 標準調味料
調味料、それは数多の商品が存在する、魑魅魍魎の世界。「お好きな調味料を加えて~」など旧世界のレシピによく登場する言い回しだが、要するに選択の責任をユーザに押し付けているのである。不思議なもので、選択肢が増えれば増えるほど自由になれるのに、人間はその選択に苦悩するのである。心配ない、俺がその苦悩から解放する。
4.1 塩いわゆるNaCl
塩は普通、塩化ナトリウム \(\rm{NaCl}\) のことを指すが、化学系では塩を「えん」と呼び、イオン結合した化合物一般を指す。つまり、\(\rm{NH_4Cl}\) とか \(\rm{CuSO_4}\) も塩である。料理の話なのでNaCl以外を思い浮かべる人はいないと思うが。
塩は「伯方の塩 DRY」を使う。さらさらとして使いやすく、どこの食品店にも置いてある。袋詰めタイプで販売される塩は、自分で容器に移し替える訳だが、必ずと言っていいほど固化し、一塊となって使用不可になる。それに比べ「伯方の塩 DRY」は、容器をそのまま使えるし、内容量も丁度良く、一人分としては数か月で使い切ることができる。
図4.1-1:伯方の塩 DRY
4.2 醤油
2010年と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還した年であり、尖閣沖で中国漁船が衝突した年でもあり、鳩山由紀夫内閣が総辞職した年でもあった。一方、食品界では大きな進歩があった。それは、キッコーマンの「やわらか密封ボトル」が爆誕した年である。
調味料というのは一回当たりの使用量が少なく、事実上長期保存を強いられる食品である。その間の劣化を如何に抑えるかが、食品メーカの苦労であったろう。例えば4.1項に示す塩は、湿気により固化するという劣化特性があり、それを低減するために伯方の塩は図4.1-1の商品を作っている。
醤油は、空気中に晒すと酸化して風味が悪くなる。
この容器を初めて見たときは衝撃が走った。こんな簡単な構造で、開封後の空気と醤油の接触を極限まで抑えているのである。思えば従来の卓上醤油容器を見るたび、空気にずっと触れている違和感がずっとあった。しかしそれは流体が流れればその分空気が入り込むという至極当然の現象で、しょうがないことだと思っていた。あぁ、こんなアイデアも思いつかないで俺は!ただのうのうと生きてしまった!と、そんなことを考えさせられた商品である。
この発明に敬意を表し、標準調味料の醤油として、キッコーマンの「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ」を用いる。
図4.2-1:キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ 卓上ボトル 200ml
4.3 砂糖
砂糖は料理で結構使うものである。炒り卵に砂糖を入れる入れない派があるが、俺は入れる派である。
とくに理由は無いが、食品店でいつも置いてある砂糖として、「CGC ママ印 上白糖」を用いる。
記事を書くために調べて気づいたのだが、上白糖で検索すると圧倒的に「三井製糖 スプーン印 上白糖」が多い。しかし、CGCのママ印も、製造所は三井製糖となっている。OEMなのか? 頭痛が痛い。ただでさえ魑魅魍魎の世界である調味料なのに、こういうややこしいメーカのいざこざは本当にやめてほしい。
1973年、原油価格が高騰し、トイレットペーパーや洗剤など石油関連商品が店頭からなくなり、わずかな商品を求めてお客様が殺到するパニックが起きました。その時、「お客様に良い商品をより安く、安定的に提供できるパワーを持つためには、全国規模でまとまることが必要」と考えた各地の中堅・中小スーパーマーケットが東京・新宿にある株式会社三徳の呼びかけに応じて結集したのが、CGCグループです。その本部機能を担っているのが、シジシージャパンです。
http://www.cgcjapan.co.jp/cgcgroups/about.html
ということらしい。CGCをシジシーと彼らは呼んでいるが違和感がヤバい。
図4.3-1:CGC ママ印 上白糖 400g
4.4 料理酒
料理酒を買うことになろうとは、思いもしなかった。専ら「豚の生姜焼き」にしか使っていないのだが。
料理酒は、「タカラ 料理のための清酒 500ml 紙パック」を用いる。これも特に理由は無いが、食品店でよく見かけるため。
図4.4-1:タカラ 料理のための清酒 500ml 紙パック
4.5 胡椒
胡椒は「S&B ブラックペッパー(あらびき) 15g」を用いる。これも特に理由は無いが、食品店でよく見かけるため。
図4.5-1:S&B ブラックペッパー(あらびき) 15g
4.6 カレー粉
カレー粉は「S&B 赤缶カレー粉 37g」を用いる。
カレーは市販のルーで作るものだと思っていた。
3.2項で紹介した鍋を購入してから、無水カレー(@カレー粉)というものを作ってみたのだが、普通に旨かったので、カレーは生涯これでいくことに決めた。参考に、「ずぼら料理教室」さんの無水カレー紹介動画を併記する。俺が作るときは料理工学に基づき、自分用アレンジを加えており、今後記事で紹介予定である。
図4.6-1:S&B 赤缶カレー粉 37g
図4.6-2:STAUB鍋を用いた無水カレーの作り方@ずぼら料理教室
4.7 油
本サイトの設計方針に基づいて、油は極力使用しないのだが、どうしても鍋に具材がこびりつく場合があるので、そのときのみ使用する。
油は、「日清オイリオ 油っこくない炒め油」を用いる。内容量200gと少な目で、少量を出しやすい注ぎ口になっている。
図4.7-1:日清オイリオ 油っこくない炒め油 200g
5. 計測機器
料理工学を進める上で、計測機器は欠かせない。特に質量計はマストアイテムである。
5.1 質量計
このページでも紹介しているが、TANITAの質量計が最適と考える。
図5.1-1:TANITA デジタルクッキングスケール KJ-212
5.2 熱電対およびデータロガー (極めたい人向け)
料理中の温度を真面目に計測したいという人向けには、以下の熱電対とデータロガーの組み合わせが、コストパフォーマンスが高い。(詳細はこのページ)
図5.2-1:アズワン K熱電対(シース型) KTO-10300C φ1x300mm
図5.2-2:アズワン K熱電対データロガー RX-450K
6. 火加減
ガスコンロを使うことを前提に、火力を以下のように定義する。
- 弱火:火が消えない最小ガス流量
- 強火:なべ底から火がはみ出ない最大ガス流量
- 中火:弱火と強火の指示値の半分のガス流量