COVID-19 GoToは悪か

1. 概要

2020年度、COVID-19による混乱の中、国内経済を復興するために「GoToキャンペーン」という経済政策が実施された。当初、GoToキャンペーンによる感染拡大の影響はない、という政府見解であったものの、その後に緊急事態宣言が発令されている。結局、GoToは感染拡大に影響を与えたのか、感染者数データから読み解く。
なお、感染者数データ取得にはこのアプリを使用し、本文中のグラフは本アプリの出力ファイルをExcelで描画したものである。

結論:分からない。考える過程や感情を書きなぐった。

2. 詳細

そもそもGoToを、俺はよく知らなかった。TVでニュースを見たり新聞を読んだりしない自分にとってはどうでもよい出来事であり、インドア派であることも後押しして、自分には全く関係のない行事であった。

そういえば首相もこのタイミングで変わっているが、発案者は安部元首相で、後任の菅首相が引き継いだらしい。「らしい」というのは自分が政治に疎く、適当にweb検索して得た情報であり確信が持てないからである。「誰が発案した」という情報より「いつ、どのように」の方が気になるので、本記事では政治家のあれこれは書かない(書けるほどの知識が俺には無い)。
自分が学生の頃は知らない間に首相が変わったりしていたが、ニュースを見ない新聞も読まない俺のような人間はそんなものなのではないか。

しかし、せっかくCOVID-19に関するアプリを作りデータ分析ができるようになったので、このGoToキャンペーンを調べてみよう、というのが本記事のきっかけである。

俺が知りたいのは、都道府県毎にGoToや緊急事態宣言がいつ始まっていつ終わったか、その情報だけなのだが、これがまあ出てこない。いや、情報としては検索すればヒットするのだが、実に分かりにくい記述しかないのである。例えばこういう一覧が欲しい。

表2-1:俺が欲しい一覧データの例

こういう類の情報は、普通は(COVID-19関連ではない一般の場合は)検索すれば数分で収集できるものだが、COVID-19に関してはこれができない。国や公共機関がまとめた情報はほとんど無いのである。さらに、緊急事態宣言は国が発令するのだと思っていたが、都道府県が独自にやる場合もあるらしい。

おそらく、目の前の状況に対応するのが精一杯で、これらの情報をまとめるマンパワーが足りないのだろう。いや、足りないならまだ良いが、そういう「発想がない」ならば俺は失望する。
COVID-19に関するアプリを作ったときに感じたのは、一貫性のあるデータを国が旗振りとなって作っていないように見える、ということである。国内初感染者確認から約1年を経て、ようやくNHKが感染者数データをまとめている。これはこれでNHKは素晴らしいと思うが、本来こういうデータは厚生労働省(?)がまとめるべきではないのか。どことなく、「誰かなんとかしてくれる」感が垣間見えてしまう。

一方で、現状に対応できればデータ分析など最小限でよいではないか、という考えもあるだろう。
しかし、次に備えるという観点では、その場しのぎのやり方は物事を最善の方向に進める上で、圧倒的に情報が足りない。
例えば、次にGoToキャンペーンのような経済政策を進める場合、過去実施したGoToキャンペーンがどの程度感染拡大に影響し、どの程度経済を回復し、はたまた国民の士気を向上させたかは、非常に参考になるデータである。何らかの問題があったならば改善して実施すべきだし、感染者数の傾向が〇〇まで収まればGoToキャンペーンを実施してもよいという定量的な判断もできるようになるだろう。(感染拡大の恐れはわずかにあるものの経済回復の効果がとても大きい、など)
あるいは、COVID-20 や COVID-21、もしくは生物兵器が来たらどうするのか。今までと同じその場対応を繰り返していくのだろうか。

上記の過去実績に基づく計画の立て方は当たり前の事を言っているだけなのだが、実践できないのが世の中の普通であり、だからこそPDCAサイクル(Plan Do Check Action)という標語もできている。一般企業でもこのような理想的なやり方を実施できているのは極わずかだろう。主要因は、計画段階のしがらみや、マンパワーや資金不足、計画不足であると思う。

しかし、COVID-19に関しては全く新しい案件かつ国を脅かす甚大な危機であり、主導者の旗振りによって如何様にも導けたのではないかと考えてしまうのである。年明けの緊急事態宣言も、一体どういう根拠に基づいて発令したのか(俺は)不明だし、日々の感染者数増加傾向を見て「なんとなくヤバい」と思って感覚的に発令したように感じてしまう。

このように、COVID-19のデータをweb検索するたびに日本社会の体質のようなものを感じ、とても嫌な気分になってきたのだが、とりあえず得られた情報で考えてみた。
主要な都道府県に対する感染者数の傾向を図2-1~9に示す。なお、データは2021年1月12日時点のものなので、少し古いことに注意。
グラフ化した都道府県は、感染者数の多い東京都/神奈川県/大阪府と、観光地として人の出入りの多そうな都道府県(独断)を選定した。
それぞれの緊急事態宣言およびGoToキャンペーンの時期を表2-2にまとめる。

結局、グラフに整理してもGoToと感染者数増加の相関はよく分からない。
「よく分かる」ようにするためには現情報では不十分であり、GoToを利用した人のうち感染した割合と、GoToを利用した人が他者へ感染させた割合が必要である。これはしかし、前者は調べたら分かるかもしれないが、後者を特定するのは不可能ではないだろうか。いや、前者も特殊な例を除いて、GoToで感染したのか普通に暮らして感染したのかの判別は本人にもできないだろう。
あるいは、GoTo利用者は、
  (1)旅行前に感染確認検査を実施して数日隔離、異常がなければ旅行許可
  (2)旅行後も感染確認検査を実施して数日隔離​
というルールにしないと旅行者がGoToで感染したか否かは断定できないのではないか。

はなからこういうデータ分析ができないイベントになっているようだ。

表2-2:注目する都道府県の緊急事態宣言およびGoToキャンペーン実施時期

(ref:NHKwebページおよびGoToトラベル旅行者向け公式サイトに基づく)

図2-1:感染者数推移(東京都)

図2-2:感染者数推移(神奈川県)

図2-3:感染者数推移(大阪府)

図2-4:感染者数推移(石川県)

図2-5:感染者数推移(岐阜県)

図2-6:感染者数推移(北海道)

図2-7:感染者数推移(京都府)

図2-8:感染者数推移(沖縄県)

図2-9:感染者数推移(栃木県)

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